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昭和43年/ミネルバ茶房

1968年(昭和43年)に発表された、五木寛之の小説『ソフィアの秋』の舞台となった喫茶店、それが『ミネルバ茶房』です。 

私は、この小説の冒頭部分、「店もまた人である、・・・ミネルバ茶房は、とりもなおさず、そこの店主であるところの影山真陽氏の、人柄そのものの象徴といえる店」という文章が大好きです。 

 

五木寛之は、私がはじめてファンになった小説家です。

1969年の新春、高校2年生の正月だったと記憶しています。

和歌山市で最大の書店、宮井平安堂で1冊の本を購入しました。

『青年は荒野をめざす』という題名の小説で、作者は五木寛之です。 

 

そのころ、フォーククルセダーズというフォークバンドが歌っている、『青年が荒野をめざす』が、毎日、深夜のラジオ番組で流れていました。

その歌のことが頭の中にあったので、何となく衝動買いをしてしまったのですが、読み始めると夢中になってしまって、イッキに読んでしまいました。 

それからです。刊行されている五木寛之の単行本を、片っ端から買ってきて読み漁ったのは。 

それまで、高校2年生の冬まで、私は、自分の意思で小説を読むというようなことは、皆無でした。

必要にせまられての読書、というのがほとんどでした。

書籍を購入するお金には、困りませんでした。

何しろ、その頃の私は、裕福な高校生でしたから。

 

ミネルバ茶房は、外観からは「喫茶店」だとは想像もつきません。

民芸風の民家のような外観です。

店に入ると、畳10畳くらいの土間と、こじんまりした和室があって、その両方の部屋をまたぐような形でカウンターが設置されています。

土間の壁は本棚になっていて、店主の蔵書がびっしりと並べられています。

客たちは、その本を読みながら、だらだらとした時間を過ごしている、そんな喫茶店です。

 

昭和40年代、どの大学の近くにも、そのような喫茶店が存在していたのだと思います。 

私は、何年も前から、ミネルバ茶房のような喫茶店を営んでみたいと、夢想しています。

おそらく、21世紀初頭の日本で、個人が喫茶店を営むのなら、「ミネルバ茶房」のような喫茶店でなければ成り立たないと、私は思っています。

 

生活にある程度「ゆとり」のある人の、一種の道楽としての喫茶店です。

今の私には、まだまだ、喫茶店経営という道楽をする「ゆとり」がありません。

だけど、もう少しすれば、その「ゆとり」が生まれてくるはずです。

そのときを楽しみに、毎日、仕事に精を出しています。

 

 

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2006年9月2日記