年老いた珈琲豆焙煎屋のブログ

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20世紀版、エカワ珈琲店の珈琲読本(第3章)コーヒー生豆の精製と出荷【後編】

コーヒーノキの栽培条件や収穫時期、また、コーヒー豆がどのように精製処理されたかは、コーヒー豆の品質価値を大きく左右する要因だと言われています。

特に、コーヒー豆精製工程での品質管理は、消費者が飲む一杯のコーヒーの香味を大きく左右するとも言われています。

 

収穫したコーヒー果実は生ものですから、できるだけ素早く乾燥処理する必要があります。

コーヒー豆に含まれる水分含量を低く抑えることで、出荷までの倉庫での貯蔵と、出荷してから消費されるまでの期間の品質保持を図っています。

 

【目次】

『エカワ珈琲店の珈琲読本、(第3章)コーヒー生豆の精製と出荷』は、1990年代に年老いた珈琲豆焙煎屋が20世紀に出版された珈琲関係書籍を参考書としてコーヒーの学習をしていた頃の学習ノートみたいなものです。

2023年の現在では、相当に時代遅れになっていてる記事だと思っています。

 

【6】欠点豆の選別

精製されたコーヒー生豆は、さらに欠点豆を取り除く作業(ハンドピック)による選別を行います。

不完全なコーヒー生豆、欠点のあるコーヒー生豆が欠点豆で、それらの豆が存在すると、不快な異臭が混じったりして、コーヒーの香味に悪い影響を与えます。

コーヒー生豆の欠点豆は、樹木での成育中、収穫時、精製過程のいずれかで作られます。

欠点豆の混入が香味にとってプラスに働くことは有り得無いわけですから、除去するのが原則です。

欠点豆には、黒豆、発酵豆、カビ豆、未熟豆、砕け豆・貝殻豆、虫くい豆、ドライチエリーなどがあります。

 

(1)黒豆(ブラックビーン/Black Beans)

コーヒーノキから地上に落ちた果実が、長期間、土に混じって発酵腐敗して黒くなった豆。

この黒豆が混じっている焙煎コーヒー豆でコーヒーを淹れると、ほこりっぽい味がするといわれています。

 

ブラック(黒)、あるいは、非常に暗い色をしているコーヒー生豆。

ブラックビーン(黒豆)は、未成熟なコーヒー果実、あるいは、コーヒーノキから自然落下して腐敗したコーヒー果実を収穫することによって発生します。

コーヒー生豆を、水や熱や害虫に対して野ざらしにしておいた結果として、黒豆(ブラックビーン)になると考えられています。

 

コーヒー生豆の表面積の25%以上が、黒、深くて暗い青色、ダークブラウンになっている場合、そのコーヒー生豆は黒豆(ブラックビーン)だと考えられています。

黒豆/Black Beans(ブラックビーン)は、コーヒーの味に良くない影響を与えます。

コーヒー生豆の見本サンプルの中に含まれている黒豆(ブラックビーン)の数は、コーヒー生豆のグレードを判定するための基本となります。

 

(2)発酵豆(サワービーン/sour bean)

地上に落下した果実が、そのまま放置されて発酵したもの。

正常なコーヒー生豆との見分けが難しくて、少し白くてふやけた感じがするだけですが、焙煎すると褐色にはなりません。

そして、発酵豆の混ざった焙煎コーヒー豆でコーヒーを淹れると発酵臭がします。

 

発酵豆には、完全な発酵豆(Full sour bean)と不完全な発酵豆(Partial sour bean)があります。

完全な発酵豆は一次的な欠点ですが、不完全な発酵豆は二次的な欠点です。

発酵豆は、赤みがかった茶色、黄色のような、あるいは黄色がかった茶色をしています。

 

カップコーヒーの品質は、コーヒー生豆の発酵の程度によって違って来るとされています。

発酵豆の原因は、主として、熟しすぎたコーヒーチェリーを摘むことや、地面に落下したコーヒーチェリーを拾うことに起因していると言われています。

完全に発酵したコーヒー豆の混ざっている焙煎コーヒー豆でコーヒーを淹れると、コーヒーの香味が台無しになってしまいます。

 

(3)カビ豆(Moldy)

乾燥工程や、輸送・貯蔵中の保管の不備などによって、湿気やムレなどが原因でカビが発生したコーヒー生豆。

保管・貯蔵中に、水分が14~15%になるとカビが発生する確率が高くなります。

淡い緑色、あるいは、白い綿のようなカビを持っているコーヒー生豆。

カビ豆を焙煎すると、カビ臭やカビのようなフレーバーを持つ焙煎コーヒー豆が出来上がります。

 

(4)未熟豆

気象条件や収穫期のズレから果実の成熟度が不揃いになって、未熟果が混入すると言われています。

未熟なコーヒー豆は、貧弱で小さくて艶も無くて、円熟味に乏しいと言われています。

 

(5)砕け豆(Broken beans)、貝殻豆(Shell)

砕け豆(Broken beans)のうち、貝殻状に砕けている豆を貝殻豆(Shell)と呼んでいます。

コーヒー生豆の精製工程にて、乾燥のし過ぎや、機械の物理的作用によって砕けてしまったコーヒー生豆。

豆自体には問題がないのですが、焙煎中に煎りムラを起こしたりします。

煎りムラがあまりにも多いと、コーヒーの香味に問題が出てきます。

 

貝殻豆(Shell)は、貝殻と同じように大きな空洞を持っていて、一般的に欠点を持つコーヒー豆だとされています。

発酵豆、黒豆、ドライチェリー、カビ豆、未熟豆などと同じように、その含有割合が、コーヒー豆を評価するときの指標となっています。

しかし、砕け豆(Broken beans)/貝殻豆(Shell)は、一次的な欠陥ではなくて二次的な欠陥ですから、コーヒー豆の成分品質には問題を持っていないと考えられています。

 

 (6)虫食い豆

成熟前のコーヒー豆に害虫が侵入して、被害を受けている豆。

豆の表面に汚点が残っていたり、穴があいていたりします。

汚点が多かったり、穴が深かったりすると、しまらない香味のコーヒーが出来上がります。

 

(7)ドライチェリー

非水洗式(アン・ウォッシュド)精製法で、摘み立てのコーヒーの果実(コーヒーチェリー)を、太陽の下で何日間か乾燥させて、その乾燥させたコーヒーの果実(ドライチェリー/黒くなった果実)を倉庫で保管しておき、出荷前に脱穀しています。

しかし、まれに脱穀されずにコーヒー生豆の中にドライチェリーが混入することがあります。

ドライチェリーが混入しているコーヒー生豆を焙煎すると、異臭を放ち、豆に特異な匂いを加えることもあります。

 

【7】格付け・分類

コーヒー生産国では、輸出に際してコーヒー豆の格付け・分類を行って、商取引の基準としています。

その基準は生産国によって異なっていますが、大きく分けると「豆の外観の美しさや大きさ、均一性などによる格付け」と「風味による格付け」となります。

 

コーヒー豆の外観による格付けでは、コーヒー豆の大きさ(サイズ)による等級・格付けと、欠点数による等級格付けがあります。

サンプルコーヒー豆に含まれている混入物の種類と個数を欠点数に換算して、その数値によって等級に分類する格付けが、欠点数による格付けです。

【例】ブラジル・サントス №2(17/18M)

 

味による格付けでは、コーヒー生豆をサンプルロースターで焙煎して、カップテストをすることで風味・香りを判定します。

 

【8】品質表示

コーヒー豆が、生産国から消費国へ、売り手から買い手へと取引が行われる際、コーヒー豆の名称や品質など、その履歴が判る必要があります。

その手がかりとなるのが、コーヒー生豆に添付される品質表示です。

 

品質表示には、一定の基準があります。

(1)生産国名

どの国の、どの地域で収穫されたか。コロンビア・メデリン、モカ・ハラーなど。

 

(2)輸出港名

たとえば、ブラジル・サントスは、サントス港から出荷されたコーヒー豆。

 

(3)原種名

アラビカとロブスタの区別。

ベトナム・ロブスター、ケニア・アラビカなど、国名の下に原種名を記入することが多い。

 

(4)等級と格付け

水洗式と非水洗式などの精製方法や、品質の等級、粒の大きさ、標高の違い、風味の違いなどが表示されます。

 

【9】カフェインの除去

コーヒー豆からカフェインを除去する工程は、コーヒーの種子(コーヒー生豆)が経験する処理工程の一部分なのかもしれません。

コーヒー生豆の段階で、カフェインの除去が行われます。

カフェインを除去する方法ですが、多くの方法が知られています。

 

カフェインを取り除くのに有機溶媒を使う方法がありますが、日本ではこの方法でカフェインを取り除いたコーヒー生豆は使用できません。

日本では、水や二酸化炭素を利用してカフェインを取り除いたコーヒー生豆が流通しています。

水を使ってカフェインを除去する方法としては、スイスウォータープロセスが有名です。

二酸化炭素を使って除去する方法としては、気体と液体の両方の性質を持つ超臨界流体を利用する方法が注目をあびています。

 

コーヒー生豆からのカフェイン除去は、ほとんどの場合、カフェイン除去を専門としている工場で行われています。

そして、コーヒー生豆から抽出したカフェインは、製薬会社に販売されています。

 

【10】コーヒー生豆の出荷

農園で収穫されたコーヒーの果実は、まず集荷されて、次に精製されます。

精製後、選別されて格付けが行われ、パーチメントコーヒーの状態で倉庫に保管されます。

そして、取引が成立すると、倉庫から出荷されることになります。

パーチメントコーヒーを脱穀すると、輸出向けのコーヒー生豆が誕生します。

コーヒー生豆を詰めた麻袋は、普通のコンテナ容器や内側がプラスチックになっているコンテナ容器に保管されて船積みされます。

毎年(2010年~2014年)約700万トンのコーヒー生豆が、生産国から消費国に向けて出荷されているそうです。

 

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