年老いた珈琲豆焙煎屋のブログ

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珈琲屋がお客さんにコーヒー豆焙煎について知っていて欲しいと思う5つの事柄

ひと昔前、ふた昔前と違って、一般の消費者が、珈琲屋の店頭に設置されているコーヒー豆焙煎機を見る機会が多くなっていると思います。

しかし、 焙煎コーヒー豆や一杯のコーヒーを購入する消費者の大半は、コーヒー豆の焙煎について、それほど知識を持っていないはずです。

焙煎コーヒー豆を購入して家でコーヒーを淹れているお客さんに、コーヒー豆の焙煎についてこれだけは知っていて欲しいと思う5つの事柄を書き出してみました。 

あくまでも、和歌山市でパパママ経営の自家焙煎コーヒー豆小売専門店を営む高齢の店主が考えている事柄ですが。 

 

(※)このエントリー記事とほぼ同じ内容のテキスト(もちろん、修正と加筆はしています。)を、2023年11月20日に出版した『珈琲物語(第1集)』に収録しています。

www.ekawacoffee.work

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【目次】

 

(1)コーヒー豆の焙煎は、コーヒー豆の物理化学的変化を制御する技術

焙煎機の回転ドラムの中にコーヒー豆を放り込んで、20分~20数分間、そこに200度くらいの熱風を流し込んで、あるいは、回転ドラム内の温度(雰囲気温度)が200度くらいになるように火力で熱して、回転ドラム内に放り込んだコーヒー豆に無数の化学反応や物理的反応を発生させて、商品となる焙煎コーヒー豆が煎り上がります。

回転ドラム内のコーヒー豆に熱を加えることで発生する化学反応や物理的反応を制御して、好みの焙煎コーヒー豆に煎り上げる技術がコーヒー豆の焙煎だと考えています。

コーヒー豆の焙煎で特に重要なのは、コーヒーの香味を作り出す褐変反応(カラメル化反応やメイラード反応など)だと考えています。

焙煎が終了すると、煎り上がった焙煎コーヒー豆を回転ドラムから放り出して、焙煎機の冷却トレイで焙煎コーヒー豆が室温になるまで冷却します

 

(2)コーヒー豆の焙煎は、知識・経験・技術・感覚を駆使する化学的創作活動

基本となる焙煎プロファイル(コーヒー豆焙煎のレシピ)に沿ってコーヒー豆を焙煎すれば、それなりの焙煎コーヒー豆が出来上がります。しかし、それなりの・・・です。

例えば、有名シェフの作成した料理レシピに沿って調理すれば、それなりの料理が出来上がるかもしれませんが、有名シェフの知識・経験・技術、それに感覚を駆使して調理する料理には及ぶべきもありません。

データだけに依存するコーヒー豆の焙煎は、平均的な焙煎コーヒー豆を作り出します。それにプラスして、コーヒー豆焙煎職人の知識・経験・技術、それに感覚を駆使することで、平均点以上の焙煎コーヒー豆を作り出すことができると考えています。

 

(3)コーヒー豆の焙煎は、コーヒーの淹れ方に影響する

焙煎コーヒー豆は、コーヒーの淹れ方に影響を与えています。

例えば、冷たいコーヒーを淹れるには深く焙煎加工したコーヒー豆、カリタのハンドドリップ用抽出器具を使って淹れる時には、中煎り~中深煎りに焙煎加工したコーヒー豆、サードウェーブコーヒー的なコーヒーを淹れるなら浅煎り~中煎りに焙煎加工したコーヒー豆、エスプレッソコーヒーを淹れるのに使うのは深く焙煎加工したコーヒー豆が最適だと思っています。

そして、中煎り~中深煎りに焙煎加工したコーヒー豆を使って、カリタのハンドドリップ用抽出器具でコーヒーを淹れる場合でも、コーヒー豆の焙煎の仕方が異なれば、コーヒーの淹れ方にも変化をつける必要があると考えています。

ちなみに、同じハンドドリップ(手作業でのコーヒー醸造)でも、布フィルターを使って淹れるコーヒーには、中深煎り~深煎りに焙煎したコーヒー豆が向いていて、紙フィルターを使って淹れるコーヒーは、中煎りから中深煎りくらいまでに焙煎したコーヒー豆が向いていると考えています。

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(4)同じ地域・農場のコーヒー豆でも、焙煎の仕方を変えることもある

例えば、エチオピア・モカのコーヒー豆です。コーヒー豆の生産精製方法が異なれば(水洗式か乾燥式かで)、焙煎の仕方を変えています。

コーヒー豆の栽培農場の高度が異なれば、それに応じて、焙煎の仕方を変えています。

同じ地域・農場のコーヒー豆を原料に使っているとしても、同じような焙煎方法を採用しているわけではありません。コーヒー豆を焙煎する人の感覚(主観)によって焙煎方法が異なるので、様々な焙煎方法が採用されています。そして、焙煎方法が変われば、コーヒーの香味も変わります。

 

(5)美味しさの価値観を共有できる珈琲豆焙煎屋で購入するのがベスト

例えば、同じ地域の同じ農園で栽培収穫されたコーヒー豆であっても、コーヒー豆の焙煎の仕方が異なれば、異なった香味を作り出す焙煎コーヒー豆が煎り上がります。

小規模な珈琲豆自家焙煎店が販売する焙煎コーヒー豆の焙煎には、当然のことですが、 その焙煎コーヒー豆を焙煎加工した人の個性や好みが色濃く反映しています。

ですから、美味しさの価値観を共有できる珈琲豆焙煎屋で購入するのがベストだと思います。